【邦題】 光州5.18
【製作年】 2007年
【製作国】 韓国
【監督】 キム・ジフン
【出演者】 キム・サンギョン 、 イ・ヨウォン 、 イ・ジュンギ 、 アン・ソンギ
【あらすじ】
1980年5月18日、韓国・光州市。この町で25000余名の戒厳軍が民主化を要求する学生、市民らと衝突した“光州事件”…タクシー運転手の青年ミヌは早くに両親を失い、たった一人の弟ジヌと暮らしていた。父親代わりでもあるミヌは、弟に格別の愛情を寄せていた。そして、ミヌが想いを寄せる看護師のシネ。彼女は母親を亡くし、父親フンスとの二人暮らしだった。彼らの平和な日常は、その日を境に突如として襲った嵐のような戦禍にまみえていく。ミヌは、ただその現実が夢であることを願った。軍の銃弾に倒れた弟のジヌ。かけがえのない愛と命が次々と犠牲になっていく。ミヌは、ただ愛するものを守りたい一心で戦いを挑んでいくのだが…。
これは実際に韓国で起きた事件を映画化したもの。
こんな残酷な悲しい事件が実際に隣の国・韓国で起きていたことすら知りませんでした。1980年なんてついこの前じゃないですか。もう生まれてましたよ、私。。。
あまりこの事件の知識がないまま映画を観ました。実際に起きた事件ということしか頭になかったので、この映画を観ているとき「ほんとにこんな事件が?!」と信じられない気持ちでしたね。
キム・サンギョン演じる兄ミヌとイ・ジュンギ演じる弟ジヌのどこにでもいる普通の兄弟。イ・ヨウォン演じるジヌと同じ教会へ通う看護婦シネ。シネのことが好きなミヌは不器用ながらも一生懸命彼女にアピールし、それを応援するジヌ。ミヌと同じ職場のおしゃべりなタクシー運転手、態度の悪い客、ジヌの同級生、、、普通の日々がこの事件をきっかけに壊れてしまうんです。
鎮圧部隊の無差別な鎮圧によりミヌはジヌを失う。しかも自分の目の前で弟が撃たれてしまう。
弟の死をきっかけにミヌは戦うことを決意。愛する人をこれ以上失いたくないと、アン・ソンギ演じる元軍人フンスを先頭に市民対軍部の戦いが始まる。。。
悲しすぎる。もう号泣でした。歳をとって涙もろくなっているせいもあると思いますが、それだけではないはず。このありえない軍部の理不尽な攻撃、愛する人を守るため戦う姿、銃弾に倒れる市民たち。。。
ではここで号泣ポイント。
その1、鎮圧部隊からの一斉射撃によりジヌが撃たれてしまい、助けに行き泣きながらジヌを抱きかかえるミヌの姿。目の前で弟が撃たれてしまう。。。早くに両親をなくし、たった一人の大事な弟が目の前で命を落とす・・・。銃弾が飛び交っていることも気にせず弟を抱きかかえ号泣する姿には涙がでました。(まだ物語前半)
その2、戦うことを決意し全羅南道庁に立てこもった市民軍。フンスは自分の娘シネのことをミヌが好きなことを知り、ミヌをここから出しシネのことを託す。それを聞いたミヌは反対したがフンスの言葉を受け入れ、シネと一緒に道庁から去る。父親との別れを知ったシネが「アボジ(おとうさん)・・・アボジ・・」と泣きながら無線で伝える姿はもう号泣。
その3、その2のすぐあと、一緒に道庁から去ったミヌだったがやはり一緒に戦わず離れることが出来ず、お父さんを守るとシネと別れ道庁へ戻るシーン。まだ平和だったころ、シネに「毎朝迎えに行きます」と約束をしたミヌ。シネは泣きながら、戻るミヌに「明日迎えに来てくれますよね?」と叫び、「もちろん」と死を覚悟しているミヌがシネにいうところ。。。もうダメ。。。
その4、とうとう鎮圧部隊と市民軍が激突。圧倒的な武力と人数で鎮圧にかかる軍部にはやはり勝てず、市民軍がどんどん殺されていく。みな無線で連絡をとりあっているんだけど、死にそうな市民たちが自分たちがここにいた証拠、ここで戦ったこと、暴徒と政府からよばれているがそうではないと自分の名前を無線で話すところは胸が詰まる思いでした。
その5、まだまだあります。フンスとミヌは一緒に戦っていて、ある場所までいく。するとフンスはミヌを外に出し、鍵をかけてしまう。ミヌを最後の最後で逃がし生きてシネを頼むとお願いする。そんなフンスにミヌは「アボジ(お父さん)」と叫ぶシーン。はぁ、フンス演じるアン・ソンギがもうかっこよくてかっこよくて、、、。
その6、ミヌを逃がした後、戦いに戻るフンス。途中、元自分の部下に出くわす。お互い撃つことをせず逃がすのだが、フンスを見つけたほかの兵士に撃たれてしまうところ。。。
アン・ソンギ、、、好きなので余計に悲しいです。もう涙が止まりません。。。
その7、逃げてたミヌだが途中、見つかってしまい多くの兵士たちに囲まれる。黙って投降すれば助けてやると、銃をおろせ暴徒!と言われる。理不尽に国から攻撃され、自分たちを守るために戦ってきたのに「暴徒」と呼ばれ、「暴徒ではない!」と叫びながら兵士たちにむかい銃を向けるミヌ。そんなミヌに多くの兵士がいっせいに攻撃し、ミヌが銃弾に倒れるところ。。。
悲しすぎる。そして怒りがこみ上げました。
その8、シネが車にのり街の中を「戒厳部隊が攻めてきます。市民の皆さん、私たちを助けてください」「私たちの仲間が戦っています。私たちを忘れないでください」と叫ぶシーン。
シネはもう父親もミヌも一緒に戦ってきた仲間が死んでしまうことをわかっていたのでしょう。どんな思いで訴えたのでしょうか。。。
ラスト、結婚式のシーン。これはミヌとシネの結婚式。え?!結婚してないでしょ?死んだでしょ?
そうでなくて、このシーンはこんな事件がなかったらこんな未来があっただろうっていうことなんです。ジヌも生きていてフンスも笑顔で娘と腕を組んでいる。もちろんミヌも最高の笑みでシネの隣にいる。周りにはこの戦いで命をおとした市民たち。ただ1人シネだけが笑っていない。これはシネが自分だけ生き残ってしまったという罪悪感からの表情。
かなり長くなってしまいましたが、ほんとこの映画はみていただきたい。暴行シーンや撃たれるシーンは目をつむりたくなるかもしれないけど、こんな事実がつい最近となりの国で起こっていたということを知ってほしいですね。韓国という国を買い物や観光、スターだけでなくこういうこともあったんだということをぜひ認識してほしいです。
私もこの映画をみるまでしらなかったので、見終わった後いろいろ調べました。
するとこの映画はかなり忠実につくられているみたいです。もちろんフィクションもありますが。
映画の中で父親を亡くし遺影を抱えて泣いてる子供シーンがあるのですが、これは実際のニュースでも同じ子供が遺影を抱えてるシーンがあります。
また、シネが車で街中を「戒厳部隊が攻めてきます。市民の皆さん、私たちを助けてください」「私たちの仲間が戦っています。私たちを忘れないでください」と叫ぶシーン。これも本当に訴えていた女性が2人いたそうです。
私はこの映画がいいたかったことはもちろん、韓国にこういうタブーな事件があったということ(※実際この攻撃が始まったとき、政府は光州地区の電話線を断ち、外部との連絡を一切とれないようにし、マスコミも軍部で統制し事実を流さないよにしていた)を韓国国民、世界の人たちに知ってもらうこと、あとは女性が訴えていた「私たちを忘れないでください」ということではないのだろうかと思います。
ちなみに原題の【華麗なる休日】とは軍部のこの作戦のコードネーム。ありえない、、こんな戦いが“華麗なる休日”だなんて。。。
光州事件の詳しい内容はこちらから
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