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2010/11/12

Barking dogs never bite

【邦題】 ほえる犬は噛まない
【原題】 플란다스의 개
【監督・脚本】  ポン・ジュノ
【出演者】 ペ・ドゥナ、イ・ソンジェ、ピョン・ヒボン
【あらすじ】
とあるマンションを舞台に、連続小犬失踪事件をめぐって繰り広げられる騒動を描いた異色コメディ。事件を通して浮かび上がる普通の人々の奇妙な側面を、誇張や漫画的表現を織り交ぜテンポ良くユーモラスに綴る。監督は本作で劇場映画デビューとなる新鋭ポン・ジュノ。主演は韓国の人気TVタレント、ぺ・ドゥナと「アタック・ザ・ガス・ステーション!」のイ・ソンジェ。
 中流家庭の住む閑静なマンション。うだつの上がらない大学の非常勤講師ユンジュは、出産間近の妻ウンシルに養われながら教授を目指している。だが最近、飼うことを禁止されているはずの犬の鳴き声がマンション内に響き渡り、なかなか出世できない彼をイラつかせていた。そしてある時、彼はたまたま犬を見つけると地下室に閉じこめてしまう。一方、マンションの管理事務所で働くヒョンナムは、平凡で退屈な毎日を送っていた。そんな時、団地に住む少女の愛犬ピンドリがいなくなったと知り、正義感を燃やしてビラ貼りを手伝い始めるのだった…。

私、これ好きです。とびきり面白いわけでもないんですが、とてもシュールな笑いで『クスッ』って感じ。※いや、私がクスッとかわいく笑うわけがないか・・・
シュールでコミカル、そしてブラック。とにかくくだらない笑いが盛りだくさんです。
それを嫌に感じさせないのはペ・ドゥナちゃんのキュートさのおかげ。

この映画の原題が「フランダースの犬」。
え、どこが?!
いたいけな少年もやさしいおじいさんも出てきません。むしろ“うるさい”という理由で犬を始末しようとしているうだつのあがらない男性と、つまらない毎日に嫌気をさしている女の子のお話です。

この話の面白いところというかさすがポン・ジュノ!というところは、人間の狂気をコメディで表現したところ。コメディなんだけどところどころにポン・ジュノ独特のシュールな登場人物がいるおかげでちょうどいい物語になっているんですよ。
犬の耳障りな鳴き声。働かない男。夫を見下す妻。屋上にある切り干し大根。態度の悪い事務員。気味悪い都市伝説。浮浪者にポップコーンを投げつける小学生。団地で犬を飼う老女。などなど。。。小ネタ満載。この監督はこういうところがうまいよね~。さすがです。


ダメな人はまったく面白さを感じないと思いますが、好きな人ははまると思います、ポン・ジュノワールド。
え?!このうだつのあがらないおっさん、イ・ソンジェって『デイジー』の人?!わからなかったわ~。


 
ティッシュを鼻につっこんでもかわいいってすごいよね

2010/02/08

Mother

【原題】 Mother 마더
【邦題】 母なる証明
【監督・原案】 ポン・ジュノ
【エグゼクティブプロデューサー】 ミッキー・リー
【プロデューサー】 ソウ・ウォシク、パク・テジョン
【脚本】 パク・ウンギョ、ポン・ジュノ
【撮影】 ホン・クンピョ
【製作国】 2009年韓国映画
【出演】 キム・ヘジャ、ウォンビン、チン・グ、ユン・ジェムン、チョン・ミソン
【あらすじ】
とある静かな町。漢方薬店で働く母(キム・ヘジャ)は、一人息子のトジュン(ウォンビン)と2人暮らし。純粋無垢なトジュンの存在は、この上ない彼女の幸せだった。ある日、トジュンが猛スピードの車にはねられる。幸い軽傷で済んだトジュンは、友人のジンテとともに逃げた車を追いかけ、乗っていた男たちを襲う。ある日、ジンテに待ち合わせをすっぽかされたトジュンが酔って歩いていると、1人の女子高生に出会う。声を掛けるトジュンだったが、返事の代わりに石が飛んでくるのだった。翌朝。ビルの屋上でその女子高生の無残な遺体が発見される。数年ぶりの殺人事件にいきり立つ警察は、大規模な捜査を展開。数日後、トジュンが名前を書いたゴルフボールが現場に落ちていたことから、容疑者として逮捕されてしまう。必死に弁明するトジュンだったが、早期解決を狙う警察によって、犯人にされてしまう。母も息子の無実を警察に訴えるが、全く相手にされない。やむなく母は、自分で真相を突き止めることを決意。まず疑ったのは、事件当夜トジュンが会い損ねたジンテ。トジュンのゴルフボールの件は彼も知っていたからだ。ジンテの留守宅に忍び込み、怪しいゴルフクラブを警察に届ける。だが、それは凶器ではなく、却ってジンテとの関係を悪化させてしまう。だが、ジンテとの会話で事件についての疑問が生じる。死体を隠すなら埋めるのが普通だが、女子高生の遺体は、これ見よがしに屋上に置かれていた。しかも、彼女には以前から色々な噂があった。彼女を調べる必要があるのではないか?土砂降りの雨の中、遺体発見現場へ走り出す母。そこは町中が一望でき、遺体を隠すには目立ちすぎる場所だった。息子を救うべく、母は1人で走り出す……。

さすがポン・ジュノ監督でございます。傑作です。ポン・ジュノワールド全開。
「吠える犬は噛まない」「殺人の追憶」「グエムル -漢江の怪物-」と彼の作品は観てきましたが、いちばん見ごたえがあったかも。ん?殺人の追憶とはるかな・・・いや、ウォンビンの隠し切れないかっこよさでこちらに軍配があがったかな。
オープニングから「いったい何?!」というようなキム・ヘジャ演じる母が草原で踊るシーンから始まり、不気味さとシュールさを表現。ザクザクと薬草を切る音、ウォンビン演じる息子トジュンを見つめる狂気すら感じる母の視線。こりゃどうなる?!と思っていたとたんにキューと過ぎるウォンビンが犬とたわむれホッとするのもつかの間、そんなウォンビンが車にはねられる。それを狂ったように叫ぶ母。。。冒頭10分程度でこれですよ。
そこから小さな田舎町で殺人事件がおこり容疑者としてトジュンがつかまり、息子の無実を晴らすため母が必死(狂気)になって駆け回るんです。

この映画、実に小道具が効いてる。母の針の小箱、ゴルフボール、携帯電話、廃品回収等々。スルーしちゃいけません。すべてに意味がありますから。途中寝たりしたらもうアウト。
そしてポン・ジュノ映画特有の美しい風景、そんな風景が夜になるといっぺんして不気味な風景になり、それに追い討ちをかけるような雨。そんな緊張感のなかシュールな笑い。果たしてここは笑うべきなのか恐怖なのかだんだんわからなくなる。はー、疲れる。

「母の愛」がこの映画のテーマだと思うんだけど、ほんとその愛が凄まじい。ただこの愛は単に一人息子を愛しているってだけではない。母は息子に大きな負い目がある。だからこそここまで息子のためにやりすぎだろってくらい息子の無実を晴らすために必死になったのかなと。
でもほんとにポン・ジュノって容赦ない。人間の闇というか影というか本質をえぐりだし、それを「貧困」という避けられない状況で映し出す。黒が白に、白が黒に、弱者ゆえ真実さえも真実ではなくなる。苛立ちさえも覚える覆せない真実。あー、こわ!

でもですよ!この映画、ウォンビンじゃないと成功しなかったのでは?!彼がスターだからではなくてね。もちろんスターですよ。はい。そうでなくて、この純粋無垢!?なトジュンを演じるのはイケメンにして映画にもでてくる「小鹿のような瞳、彼の瞳は芸術品」だからこそですよ。
イケメンなのにすっとぼけた表情でキュートさ爆発させ女子のハートをつかみまくり、でも時にみせる不気味な表情。これはウォンビンしか出来ないでしょう。
あんなにもダサい服に髪型をしているのにイケメンを隠し切れず、全身が写ったときのスタイルの良さ、足の長さ、脱いだときの肉体、はい完璧。
小鹿の瞳
ダサい服着てるはずなんですが・・・なんでこんなにかっこいいんですか?
どんなかっこしてもどんな髪型にしても彼のかっこよさは隠し切れません。

2009/12/24

MEMORIES OF MURDER

【製作年】 2003年
【製作国】 韓国
【原題】 MEMORIES OF MURDER
【邦題】 殺人の追憶
【監督】 ポン・ジュノ
【プロデューサー】 チャ・スンジェ ノ・ジョンユン
【脚本】 ポン・ジュノ シム・ソンボ
【撮影】 キム・ヒョング
【音楽】 岩代太郎
【出演】 ソン・ガンホ キム・サンギョン パク・ヘイル キム・レハ  ソン・ジェホ ピョン・ヒボン
【あらすじ】
1986年、ソウル近郊の農村で若い女性の裸死体が発見された。
無惨にも手足を拘束のうえ強姦されており、その後も同じ手口の連続殺人事件が相次いで発生。現地には特別捜査本部が設置され、地元の刑事パク・トゥマン(ソン・ガンホ)とソウル市警から派遣されたソ・テユン(キム・サンギョン)は、この難事件に挑む。性格も捜査方法も異なる二人は対立を続け何度も失敗を重ねながら、ついに有力な容疑者を捕らえるのだが…。

天才ですね、ポン・ジュノという監督は。
一見美しい田舎の風景、子供が無邪気に遊んでいるその先には赤い服を着た殺された女性の死体、全体的にトーンを落とした映像、遺体の映像の後の焼肉店での生肉を焼く映像、閉鎖的な田舎の空気、寂しい歌謡曲の流れる雨の夜、白い煙を出す工場のタワー、田舎の刑事の古いやり方と都会の刑事のスマートな捜査、、、。それらの場面がこの映画により恐怖感と緊張感を与えています。
ソン・ガンホ演じる刑事がかなりむちゃくちゃなやり方で犯人をでっち上げる。そこにシュールな笑いがはいっているんだけどそれがまた違った怖さがでている。自白させるために台詞を覚えさせたり暴行をくわえるんだけど、なぜか容疑者はいつもブリーフ姿ですっとぼけてるし、犯人捕まえるときドロップキックをお見舞いしたり。。。
もうなにが怖くてどこが笑いの部分なのがわからなくなってくる。
まったくタイプの違った2人の刑事を中心に事件・犯人を追い詰めていっているようで実はどんどんこの事件においつめられていく様子がなんともいえない。もう手に汗握るってこういうこと?ですね。
冷静だった刑事が最後、雨の中感情をあらわにするシーンとかね、もうすごいんです。

この映画は80年代、軍事政権のなか実際おきた事件をもとに製作している映画。
犯人もいまだ捕まっていないみたいです。なのでこの映画のエンディングも賛否両論。
いやいや、あのエンディングだからこそいいんです。最後の最後まで恐怖感を与えております。
軍事政権下という特殊な時代の普遍的な日常、人間の醜さ、残酷さ等など、すべてがリアル。最後のソン・ガンホの表情がこの映画の全てを物語っているのでは?!

このソン・ガンホという役者はほんとにすごい!ぜんぜんかっこよくないのに(すみません)すごいひきこまれますね。参りました。あんな存在感がある役者はそういないと思いますね。私は韓国の役者があまり覚えられないんです。なぜって?顔がうすくて判別不可能だからです。はっきりとした顔がすきなんです。(顔ははっきりとしたイケメンはすぐに覚えます)でも彼はすぐインプットされました。彼の出演作品、どんどん観ていこうと思います。(いくつかみてるけど。そのレビューはまた今度)
あと、もう一人の刑事役のキム・サンギョン氏ですか?最初はぜんぜんかっこいいと思わなかったけどだんだんラストに近づくにつれてかっこよく見えてしまいました。
はー、それにしてもすごい映画でした。こういう作品は日本にはとれないだろうなぁ。。あんまりみたことないけど日本の刑事ものの映画ってやたら熱血だったり事件がお祭り騒ぎだったり、最後はめでたしめでたしのハッピーエンド。人間のリアルな感情が見えてこない。犯人だって刑事だって同じ人間。どっちも醜い部分というものはもっているはず。そういうことを韓国映画、香港映画ってわりとみせるんですよね。日本の場合は、犯人・事件の酷さ、そこばっかりなきがするんですよ。善と悪は誰もが持ってるんです。きれいごとばかりじゃつまらないですよ。

この映画、というかポン・ジュノについて朝まで語れそうです。「母なる証明」もそうだったけど、彼の作品はどの場面もみすごしたらダメですね。ポップコーンに気をとられていたらダメです。どの場面も大事でいつどこでつながるかわかりませんので。これ注意。そして見終わった後、論議をしたくなること間違いなし。

だんだん彼がかっこよく見えてきてしまいました・・・※ソン・ガンホじゃないよ