2010/11/17

The King and the Clown

【邦題】 王の男
【原題】 왕의 남자
【監督】 イ・ジュンイク
【脚本】 チェ・ソクファン
【出演者】
カム・ウソン、チョン・ジニョン、イ・ジュンギ、カン・ソンヨン、チャン・ハンソン、ユ・ヘジン
【あらすじ】
16世紀の李氏朝鮮の時代。2人の男性大道芸人(クァンデ;広大)チャンセンとコンギルは仮面劇(山台劇)の最高の相棒。2人は漢陽(当時の朝鮮の都、現在のソウル)の街で暴君・燕山君を風刺し、死罪に処せられそうになる。チャンセンは王を笑わせられたら罪を免ぜられるべきであると豪語する。女形であるコンギルの演技でついに王を笑わせることに成功した2人は、王宮付きの芸人として召し抱えられ、狂王に仕えるが、次第に宮廷の陰謀に巻き込まれていく。また、王の寵愛を美貌のコンギルに奪われたと嫉妬する寵姫・緑水も策謀を巡らせることとなる。

16世紀の李氏朝鮮という権力と身分の差には逆らえない時代。
上にはむかうことは死を意味し、そんな中でイ・ジュンギ演じるコンギルは運命を受け入れようとする姿はとても切なかったです。美しく妖艶な女形・コンギルは暴君と恐れられる王に愛され、それが故まわりをどんどん破滅へむかってしまうさまがなんとも皮肉。
宮廷内にはコンギルに嫉妬する愛妾、前王に劣る王に不満を漏らす重臣、コンギルたちただの芸人たちを宮廷内に住まわせることに反対する役人たち、前王と比較される上に母親のことで悩む王・・・などなど。美しく見える宮廷内はもうドッロドロ。
まー、そんな宮廷内の愛憎劇なんですが、ぶっちゃけまあまあという感想です。よかったんですが泣きはしなかったです。
しかしですね、この大道芸人たちが演じる“演目”ですか?これはすばらしい…。技・演技もそうですが、この映画のメッセージがこめられているのかなと感じました。

でもなんだかんだ悲しい人たちばかりでした。
運命を受け入れ流れに逆らわず生きようとするコンギル。
運命に逆らい、王に立ち向かうチャンセン。
狂王と恐れられるヨンサングン。
自分から心が離れていくことに嫉妬をする王の妾。。。

私はこの映画で一番好きなところはチャンセンとコンギルとのストーリーもですが、なにげに王とコンギルの話。王はコンギルといるときは狂気と悲しみ、そして信頼が入り混じったなんともいえない、そんな表情をしているんです。ただ哀しみの中で生きている人なんだなと思いました。

それにしてもイ・ジュンギは美しい。
男にしておくのはもったいないというかなんというか、なんですかあの色気は。
色も真っ白でお肌もつるつるでそして妖艶。
歌舞伎の女形のような雰囲気。うっとりですよ。
一見細そうに見えるけど、やっぱりそこは韓流スター。なにげに鍛えられてます。


 
 

If You Are the One

【邦題】 狙った恋の落とし方。
【原題】 非誠勿擾
【監督・脚本】 フォン・シャオガン
【撮影】 リュイ・ユエ
【製作国】 2009年中国映画
【出演者】 グォ・ヨウ、スー・チー、ビビアン・スー、宇崎逸聡、アレックス・フォン
【あらすじ】
秦奮(チン・フェン)は天才的な発明品を投機資産家に売ったことで、一晩で大金持ちになった。そして、適齢期で独身の秦はそれを元手に「理想の妻」を探す旅に漕ぎ出す。お見合いを通して、様々な背景を持っている人々や、考え方も違う人々に会ううちに、秦には喜劇的な面や悲劇的な面といった人間の様々な面が見え始める。秦奮(チン・フェン)の心はついに笑笑(シャオシャオ)という一人の女性に決まった。しかし、その美しい女性は既婚男性と恋をしていたのである。秦(チン)はどのようにして、笑笑(シャオシャオ)の心を惹きつけることができるのか? また、彼女を追い求めている間に、何か劇的な展開が起こるのか? さらに、最終的に彼女の心を開いて二人で新しい人生の章を開くという結末になるのか?

これ、すごい中国ではヒットした作品みたいですね。
この映画で“北海道ブーム”が起きたとか起きないとか・・・。
たしかに北海道のすばらしく美しい景色を写しておりました。毎年のように北海道へ行き、あの景色を見ている私にとっては、逆に中国の美しい景色に見とれてしまいました。
一度は中国の美しい自然・街並みをみてみたいものです。

さて、内容ですが、、、正直そこまで私は面白いとは思わなかったかな・・・。
つまらなくないですよ。気軽に見れるラブコメディ?!みたいな感じですかね。
一夜で富豪になったチン・フェンがインターネットで嫁探し。理想は高くないみたいなこといってるけど、いちいち細かい。で、結局美人なスー・チー演じるキャビンアテンダントのシャオシャオに惚れてしまうというわけ。
なんだかんだ友人?!になったチン・フェンとシャオシャオはシャオシャオの不倫を断ち切るため北海道旅行へいき、2人の距離がだんだん近づいていくわけです。
ところどころ小ネタがあり、飽きさせないようにはなっています。
教会でチン・フェンが懺悔したり(しかも懺悔することが多すぎで日が暮れてしまう)、美しい四姉妹の看板にひかれて入ったらそこには年取っておばあさんになった四姉妹がいたり。

そんなこんななんですが、私としては不倫相手のアレックス・フォンをもっと出して欲しかった・・・。
彼をみたさにレンタルしたのに。。。
あと、これちょっぴりビビアン・スーがでてました。
ほんとにちょっとなんだけどめちゃめちゃかわいい!
トシを重ねるごとにかわいくなりますね~、ビビアンは。

やっぱアレックス・フォンかっこいいんだよね~
ビビアンって歳とらないのかな・・・どんどんかわいくなる
 

2010/11/12

Barking dogs never bite

【邦題】 ほえる犬は噛まない
【原題】 플란다스의 개
【監督・脚本】  ポン・ジュノ
【出演者】 ペ・ドゥナ、イ・ソンジェ、ピョン・ヒボン
【あらすじ】
とあるマンションを舞台に、連続小犬失踪事件をめぐって繰り広げられる騒動を描いた異色コメディ。事件を通して浮かび上がる普通の人々の奇妙な側面を、誇張や漫画的表現を織り交ぜテンポ良くユーモラスに綴る。監督は本作で劇場映画デビューとなる新鋭ポン・ジュノ。主演は韓国の人気TVタレント、ぺ・ドゥナと「アタック・ザ・ガス・ステーション!」のイ・ソンジェ。
 中流家庭の住む閑静なマンション。うだつの上がらない大学の非常勤講師ユンジュは、出産間近の妻ウンシルに養われながら教授を目指している。だが最近、飼うことを禁止されているはずの犬の鳴き声がマンション内に響き渡り、なかなか出世できない彼をイラつかせていた。そしてある時、彼はたまたま犬を見つけると地下室に閉じこめてしまう。一方、マンションの管理事務所で働くヒョンナムは、平凡で退屈な毎日を送っていた。そんな時、団地に住む少女の愛犬ピンドリがいなくなったと知り、正義感を燃やしてビラ貼りを手伝い始めるのだった…。

私、これ好きです。とびきり面白いわけでもないんですが、とてもシュールな笑いで『クスッ』って感じ。※いや、私がクスッとかわいく笑うわけがないか・・・
シュールでコミカル、そしてブラック。とにかくくだらない笑いが盛りだくさんです。
それを嫌に感じさせないのはペ・ドゥナちゃんのキュートさのおかげ。

この映画の原題が「フランダースの犬」。
え、どこが?!
いたいけな少年もやさしいおじいさんも出てきません。むしろ“うるさい”という理由で犬を始末しようとしているうだつのあがらない男性と、つまらない毎日に嫌気をさしている女の子のお話です。

この話の面白いところというかさすがポン・ジュノ!というところは、人間の狂気をコメディで表現したところ。コメディなんだけどところどころにポン・ジュノ独特のシュールな登場人物がいるおかげでちょうどいい物語になっているんですよ。
犬の耳障りな鳴き声。働かない男。夫を見下す妻。屋上にある切り干し大根。態度の悪い事務員。気味悪い都市伝説。浮浪者にポップコーンを投げつける小学生。団地で犬を飼う老女。などなど。。。小ネタ満載。この監督はこういうところがうまいよね~。さすがです。


ダメな人はまったく面白さを感じないと思いますが、好きな人ははまると思います、ポン・ジュノワールド。
え?!このうだつのあがらないおっさん、イ・ソンジェって『デイジー』の人?!わからなかったわ~。


 
ティッシュを鼻につっこんでもかわいいってすごいよね

2010/11/11

Murder, Take One

【邦題】 拍手する時に去れ
【原題】 박수칠 때 떠나라
【監督・脚本】 チャン・ジン
【出演者】 チャ・スンウォン, シン・ハギュン, シン・グ, チョン・ドンファン, キム・ジンテ
【あらすじ】
ある高級ホテルの1室で発見された美人コピーライターの死体。“犯罪のない社会作りキャンペーン”の一環から、この「美人コピーライター殺人事件」の捜査過程は、48時間生中継されることに。しかし、検事(チャ・スンウォン)の執拗な尋問に、容疑者(シン・ハギュン)は無実を主張。さらにホテルのベルボーイや支配人、ガソリンスタンドの店員、日本人夫婦、盲目のマッサージ師ら個性豊かな証人が次々と現れたことから、謎が謎を呼び、事件は混乱するばかり。一時は跳ね上がった視聴率も急降下する。果たして、事件の真相は?

この映画はかなり見ごたえがありました。
まず冒頭のチャ・スンウォン演じる検事とシン・ハギュン演じる容疑者の取調べシーン。まさに演技対演技!迫力・緊張感・テンポ全てよし。
そしてこの映画、まず設定が面白い。現実では絶対にありえないでしょ?!いくら犯罪のない社会作りキャンペーン”とはいえ、捜査過程を生中継とは・・・。
殺人事件を“ショー”として扱ってるようなものですからね。国民の前でなんとか事件を解決しようとする検事と自らの無実を訴える容疑者。それを無責任なコメントを連発するスタジオコメンテーター。ちゃんと見ていないと途中で置いていかれそうになりそうですが・・・だって途中からたくさんの証言者が出てくるんですよ!!その中に日本人夫婦もいました。

なーんとなく“三谷幸喜”の作品を彷彿とさせますが、それでも軽く感じないのはやはり主演2人の演技力でしょうか。

しかし!ラストが・・・いや、ラストはいい。殺された女性の弟の心情、そして殺されてしまった女性の本当の気持ちは、、ジーンとくるものはあります。
が、ただ事件の解決方法がそれ?!ちょっとオチというかなんというか・・・もっと事件を解決する別の見せ方があったのではないでしょうかね?!
どうなんでしょ。

ちなみに私は、この作品でチャ・スンウォンを注目し始めました。
髪型はいただけませんが、かくしきれない魅力がでておりました。
※ちなみに髪型は『シークレット』のときがすき。
やっぱ背が大きいってことだけで目がいきますよ。
あ~!出てたわ!
 



2010/11/10

Sympathy for Mr.Vengeance

【邦題】 復讐者に憐れみを
【原題】 복수는 나의 것
【監督】 パク・チャヌク
【出演】 シン・ハギュン 、 ソン・ガンホ 、 ペ・ドゥナ
【あらすじ】
先天性の聴覚障害を持つリュウは、重い病に倒れた姉を献身的に看病していた。両親亡きあと自分の面倒を見てくれた姉を救うため、自ら片方の腎臓を提供しようと決意するリュウ。しかし、検査の結果はあっさり不適合。おまけに、看病のため欠勤が続き工場を解雇されてしまう。仕方なく臓器売買の闇取引に望みを託すが、反対に自分の腎臓の片方と虎の子の退職金を騙し取られてしまう。そんな時、病院から移植ドナーが現われたと知らされ、呆然とするリュウ。彼の唯一の理解者で学生運動かぶれの女ユンミは、金持ちの子供を誘拐すればいいと、抵抗感を示すリュウを強引に説得する。べつに子供に危害を加えるわけでもないと納得し、リュウはついに自分をクビにした工場の社長ドンジンの幼い娘を誘拐するのだが…。

やっぱり救われない・・・。
さすがパク・チャヌク監督。ただただ落ちていくだけ。
「復讐が復讐を呼ぶ」がテーマ。
この救われなさをNOとするかYESとするかで見る側の感想が分かれます。
私はYES派です。
確かに主人公2人に感情移入も出来ないし、後味も悪くスッキリしない。

アジア独特のジメっとした空気の中、淡々と残酷な復讐が始まる。
『オールド・ボーイ』や『クムジャさん』に比べるとエンターテイメント性は低く、派手は演出はないけどそこがまた怖い。2つの作品とは違った怖さ。なんというか、、リアル。

腎臓の病に苦しむ姉のために非合法な臓器売買組織に自分の腎臓を売却するが、詐欺にあって全財産をとられてしまい、復讐に走るシン・ハギュン演じる聾唖者リュ。
リュに娘を誘拐され殺されてしまい、娘の復讐をするソン・ガンホ演じるドンジン。
リュが殺すつもりのなかった誘拐したドンジンの娘を誤って殺してしまったことからもう大変。負の連鎖。テーマ通り復讐が復讐を呼び、“痛さ”と“辛さと“悲しみ”のオンパレード。また描写がひどい・・・。これぞアジア。アキレス腱切ったり、電気椅子でショックさせたりと残酷です。
※電気椅子でのペ・ドゥナちゃんの演技はすごかったですね~。

ただね、復讐してもなにも帰ってこないしなにも得られないんですよね。。。
そんなことを思いました。

それにしてもこのソン・ガンホ、シン・ハギュン、ペ・ドゥナの演技力はすごいです。
わっかいな~。